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2024.05.14
技術ブログ
ブレーキディスク摩耗皮膜の断面をSTEMで評価した事例をご紹介します。
車やバイクに乗っているとき、減速や停止する際にブレーキを使用します。このブレーキには色々な種類がありますが、広く用いられているディスクブレーキはタイヤと連動して回転している金属ディスクローターをブレーキパッドで両側から強く挟み込み、摩擦によってタイヤの回転を制動させる仕組みです。摩擦があるということは同時に摩耗も起こっており、ローターやパッドの表面が削れディスクローター上に摩耗皮膜が形成されることが知られています。この皮膜は摩擦係数を一定にしたり、ローターとパッドの摩耗を防ぐ働きがあり、実際に断面観察を行い皮膜の厚みや成分について調査を行いました。
▼摩擦試験前
摩擦試験前のローター表面には自然酸化膜と思われる皮膜が約3nmの厚みで観察されました。
▼摩擦試験後
摩擦試験後ではローター表面に約21nmの厚い皮膜が観察されました。
低倍・中倍率像からは場所によって皮膜の厚みが異なることもわかります。
皮膜からはFe、O、Ba、Sなどが検出され、ディスクローター/パッド双方の摩耗粉が凝着したものであることがわかりました。
また、皮膜内で元素の分布ムラがあることも見て取れます。
EDXマッピングでは元素分布は分かりやすいものの元素間での量の大小関係は分かりづらいです。
そこで、ライン分析も併用することで簡易定量解析も可能となり、主成分や微量元素の関係が把握しやすくなります。
上記のようにSTEMを用いることで金属表面酸化膜などの膜厚をnmオーダーで評価したり組成分布を調べることが可能です。
お問い合わせをお待ちしています。
FIB、FIB-SEM(日立ハイテク製:集束イオンビーム加工観察装置 NX5000)
Cs-STEM(日立ハイテク製:走査型透過電子顕微鏡 HD-2700)
キーワード
FIB、STEM、TEM、EDX、マッピング、断面、分析、酸化膜、金属、膜厚測長
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