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STEMを用いた低炭素鋼の旧オーステナイト粒界分析

2024.07.09

技術ブログ

低炭素鋼における力学特性低下の一要因として、旧オーステナイト粒界での硫黄(S)などの不純物元素の偏析が知られています。
今回は、高い空間分解能で分析することができるSTEM-EDXを用いて粒界偏析評価を行いましたので、その評価概要についてご紹介します。 
評価に用いた試料は、あらかじめ旧オーステナイト粒界場所がSEM-EBSDにより明らかなものを使用しました。上記粒界を狙いFIB加工装置でマイクロサンプリングし、STEM薄片サンプルを作製しています。

事例1 旧オーステナイト粒界の断面STEM観察(BF-STEM像)

断面観察画像1(BF-STEM)-2.png

矢印で示した場所が旧オーステナイト粒界であり、粒界上部にセメンタイト組織も確認できました。
第二相の晶析出などは認められませんでした。

断面観察画像2(BF-STEM)-2.png

事例2 STEM-EDXマッピング分析

粒界部組成分析(EDXマッピング).png

粒界部のEDXマッピング結果から、粒界において硫黄(S)の偏析が明確に確認できました。

粒界部組成分析(EDXカウントプロファイル).png

上記のようにSTEMを用いることで金属材料の粒界偏析などをnmオーダーで調べることが可能です。
お問い合わせをお待ちしています。

解析仕様

FIB、FIB-SEM(日立ハイテク製:集束イオンビーム加工観察装置 NX5000)

NX5000_shomen のコピー.jpg

Cs-STEM(日立ハイテク製:走査型透過電子顕微鏡 HD-2700) 

HD-2700.jpg


キーワード
FIB,STEM,TEM,EDX,マッピング,断面,分析,粒界,金属,膜厚測長,セラミックス,偏析,不純物

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