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2023.07.03
技術ブログ
リチウムイオンバッテリーの電極は、活物質、導電助剤、増粘剤、結着材および溶媒を含むスラリーを作製し、
Al箔やCu箔上に塗工して形成されている。
これら製造時における乾燥工程において、スラリーに含まれる溶媒を揮発させる際に、
結着材が溶媒とともに電極表層へと移動するマイグレーションと呼ばれる現象が発生する。
これら現象により電極表面では豊富となった結着材(抵抗)によりリチウムイオンの移動が阻害される。
一方、結着材が不足した集電箔付近では活物質の反応性が高まったり、合材と集電箔の剥離が助長され、
結果的にバッテリー自体のサイクル耐久性を低下させる影響がある。
正極シートにおいて、結着材成分(PVDF)のマイグレーションの傾向を評価する場合においてはEPMAによる評価が有効である。
事例ではイオンミリングによって断面作製された正極電極に対し、FE-EPMAにて元素マッピングを行い、
PVDFの主成分であるF(フッ素)の分布傾向を解析することによってマイグレーションの程度を評価した。
Fのマッピング結果は、活物質の主成分であるCoのピークによる妨害を受けてしまう。
事例ではCoマッピングを同時測定し干渉補正をすることで、実分布に近いFのマッピング結果を得ている。
マッピング結果をさらに解析することで、PVDFの偏析傾向をプロファイル化することも可能である。
これらはcsvファイルとしても出力可能であるため、分布傾向を数値解析し、適切な製造工程の条件探索につなげることも可能である。
CP加工(イオンミリング加工)(日立ハイテク製:Arblade 5000)
FE-EPMA(JEOL製:JXA-8530F Plus)
キーワード
リチウムイオンバッテリー、バインダー、PVDF、マイグレーション、EPMA
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