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リチウムイオンバッテリー セパレータシャットダウン機能調査

2023.04.04

技術ブログ

リチウムイオンバッテリーにはショート等の原因によりバッテリーが異常発熱を発生した際に、
バッテリーの安全機構としてシャットダウン機能が備わっています。
これはセパレータ材料として用いられているポリマーが溶融することで微細孔を閉塞させ、
バッテリー内のイオン電導を停止させる仕組みとなっています。

リチウムイオンバッテリーのセパレータには基本的な能力である電気絶縁性の他に、
異常時の安全性確保が機能として求められます。
セパレータのシャットダウン機能の調査は材料開発や安全性評価、部材選定の面において不可欠な評価です。

リチウムイオンバッテリーを解体し、セパレータを取り出し各種評価を実施しました。

DSCN7128.JPG
▲ 取り出したセパレータ

熱特性評価:DSC

取り出したセパレータに対し、示差走査熱量計(DSC)による熱特性を調査しました。
結果、120~150℃付近にかけて吸熱ピークが確認されました。
融解によりシャットダウン機構が動作していると推定されます。
溶解温度からPE(ポリエチレン)用いられていると推定されます。
※詳細なポリマー同定はFT-IRによって可能です

DSC.bmp
▲ DSC曲線

断面観察:FIB-SEM

熱分析による融解温度測定だけではセパレータ細孔の閉塞が定かではありませんので、
FIB-SEMによる断面観察によって細孔構造の確認をおこないました。
断面加工の手法はセパレータに機械的なダメージ、イオン加工による熱履歴が加わることが
望ましくないことからクライオFIB加工(-100°)を選択しました。
クライオ加工とすることで新品のセパレータに対しても形状を保持した断面観察を実施することが可能となります。

サンプルは新品のセパレータとDSC試験によりシャットダウン機能が働いたと思われるセパレータとの比較試験を実施しました。
結果、シャットダウン後のセパレータにおいては溶融しセパレータ細孔が閉塞していることが確認できます。
また溶解したとしても形状を保持しており、メルトダウン特性も保持している部材であることが分かります。

FIB-SEM観察_新品.jpg
▲ FIB-SEM断面観察結果:新品

FIB-SEM観察_熱分析試験後.jpg
▲ FIB-SEM断面観察結果:熱分析試験後

解析仕様

DSC_FIB-SEM.jpg

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設備詳細ページ
示差走査熱量測定(DSC)FIB、FIB-SEM


キーワード
DSC、FIB-SEM、リチウムイオンバッテリー、セパレータ、シャットダウン

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